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在宅医療における薬剤師の介入で変わる、患者さんのQOL

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在宅医療における薬剤師の介入で変わる、患者さんのQOL

在宅医療における薬剤師の介入で変わる、患者さんのQOL

2024/08/08

はじめに

高齢化社会が進む中、多くの方が「住み慣れた自宅で療養したい」と考えています。

そんな願いを叶える在宅医療。

その現場で、薬剤師の役割が注目されています。

 

「薬剤師さんって、薬局でお薬を渡すだけじゃないの?」

 

そう思われる方も多いかもしれません。

しかし、在宅医療における薬剤師の役割は、患者さんの生活の質(QOL)を大きく向上させる可能性を秘めているのです。

今回は、在宅医療で薬剤師がどのように患者さんのQOLを高めているのか、具体的にご紹介します。

親の介護に関心を持ち始めた方々に、特に参考にしていただければと思います。

在宅医療で直面する薬の問題

まず、在宅医療で多く見られる薬の問題について考えてみましょう。

◯多剤服用(ポリファーマシー)のリスク

高齢になると、複数の疾患を抱えることが多くなります。

その結果、たくさんの薬を服用する「多剤服用(ポリファーマシー)」の状態に陥りやすくなります。

例えば、Aさん(75歳)は、高血圧、糖尿病、関節痛の治療のため、3つの医療機関から計10種類の薬を処方されていました。

これだけの薬を管理するのは、若い人でも大変です。

◯薬の飲み忘れや誤った服用方法

多くの薬を服用する必要がある場合、飲み忘れや飲み間違いのリスクが高まります。

「朝に飲む薬を夜に飲んでしまった」「食前に飲むべき薬を食後に飲んでしまった」といったことが起こりやすくなるのです。

◯副作用の見逃しや対応の遅れ

薬にはどうしても副作用がつきものです。しかし、在宅療養中の場合、副作用の症状に気づきにくかったり、気づいても適切な対応が遅れたりすることがあります。

これらの問題は、患者さんのQOLを著しく低下させる可能性があります。ここで、薬剤師の出番となるのです。

薬剤師の介入でQOLが向上する具体例

では、薬剤師がどのように介入し、患者さんのQOLを向上させているのか、具体的に見ていきましょう。

3.1 服薬管理の最適化

先ほどのAさんの例で考えてみましょう。在宅医療に関わる薬剤師は、まずAさんの服用している全ての薬を確認します。

その上で、以下のような対応を行います。

薬剤の整理と重複投与の防止 複数の医療機関から処方された薬の中に、同じ効果を持つ薬が重複していないかチェックします。

重複があれば、医師と相談の上、整理します。

服薬スケジュールの調整と簡素化 1日4回の服用を3回に減らせないか、朝・夜に集中している薬を分散できないかなど、Aさんの生活リズムに合わせて服薬スケジュールを調整します。

服薬支援ツールの提案

お薬カレンダーや一包化(1回分ごとに薬をまとめる)サービスなど、Aさんに最適な服薬支援ツールを提案します。

これらの介入により、Aさんの服薬負担が軽減され、正しく薬を飲めるようになりました。その結果、薬の効果が適切に発揮され、Aさんの体調も改善。

外出する機会も増え、QOLの向上につながりました。

 

3.2 副作用のモニタリングと対策

薬剤師は定期的に訪問し、副作用のチェックも行います。

例えば、Bさん(80歳)は睡眠薬を服用していましたが、薬剤師の訪問時に「最近よく転びそうになる」と話しました。

薬剤師はこれを睡眠薬の副作用(ふらつき)の可能性があると考え、すぐに医師に報告。

その結果、睡眠薬が変更され、Bさんのふらつきも改善しました。

このように、副作用の早期発見・対応により、患者さんの安全を守り、QOLの低下を防ぐことができるのです。

3.3 患者・家族への教育とサポート

薬剤師は、患者さんやご家族に対して、薬の正しい知識と服用方法を指導します。

「実は食べ物とお薬の飲み合わせで、効き目が変わることもあるんです」

例えば、カルシウムを多く含む食品と一緒に特定の抗生物質を服用すると、薬の吸収が悪くなることがあります。

このような知識を提供することで、薬の効果を最大限に引き出し、患者さんのQOL向上につなげます。

また、家族介護者への服薬管理の指導も重要な役割です。

正しい薬の管理方法を学ぶことで、家族の不安や負担を軽減することができます。

 

3.4 医療チームとの連携

在宅医療では、医師、看護師、介護職など、多くの専門職が関わります。

薬剤師はこれらの職種と密に連携し、患者さんの状態や生活環境に関する情報を共有します。

例えば、患者さんの嚥下(えんげ)機能が低下している場合、薬剤師から医師に「錠剤から液体の薬に変更しては?」と提案することもあります。

このような連携により、患者さんにとって最適な薬物治療を実現し、QOLの向上につなげています。

薬剤師の介入がもたらす具体的なQOL向上

ここまで見てきたような薬剤師の介入は、患者さんのQOLを以下のように向上させます:

  1. 薬の副作用減少による体調改善 適切な服薬管理と副作用モニタリングにより、不必要な副作用に悩まされることが少なくなります。
  2. 服薬負担の軽減と生活リズムの向上 服薬スケジュールの最適化により、薬のために生活を制限される機会が減少します。
  3. 家族の介護負担軽減 専門家による服薬管理のサポートにより、家族の精神的・肉体的負担が軽減されます。
  4. 医療費の適正化 重複投薬の解消や副作用の早期対応により、不要な医療費を抑えることができます。

これらの要因が相まって、患者さんとそのご家族の生活の質が大きく向上するのです。

在宅医療における薬剤師サービスの利用方法

「薬剤師のサービスを受けたいけど、どうすればいいの?」

そんな疑問にお答えします。薬剤師による在宅サービスには、主に医療保険を使う場合と介護保険を使う場合があります。

1.かかりつけ薬局への相談

まずは、普段利用している薬局に相談してみましょう。多くの薬局で在宅医療サービスを行っています。

2.医療保険による在宅患者訪問薬剤管理指導

  •   利用条件:医師の指示が必要です。
  •   対象者:在宅で療養中の方(年齢制限なし)
  •   利用手順:かかりつけ医やケアマネージャーに相談し、医師の指示を得てください。
  •   自己負担:医療保険が適用されます。自己負担額は、通常の医療費と同じく、所得や年齢によって1割から3割です。

 

3.介護保険による居宅療養管理指導

  •   利用条件:要介護認定または要支援認定を受けていることが必要です。
  •   対象者:65歳以上の方、または40歳以上65歳未満で特定疾病がある方
  •   利用手順:ケアマネージャーに相談し、ケアプランに組み込んでもらいます。
  •   自己負担:介護保険が適用されます。通常、サービス費用の1割から3割の自己負担となります(所得に応じて決定)。

 

4.費用の目安

例えば、サービスにかかる費用が5,000円の場合:

1割負担の方:500円

2割負担の方:1,000円

3割負担の方:1,500円 の自己負担となります。

なお、医療保険の場合は高額療養費制度、介護保険の場合は高額介護サービス費制度の対象となるため、月々の負担が一定額を超えた場合は還付を受けられる可能性があります。

 

5.サービス内容の例

  • 薬剤師が定期的に自宅を訪問
  • 薬の管理状況の確認
  • 服薬指導や助言
  • 副作用のチェックと対応
  • 飲み忘れ防止のための工夫の提案
  • 医師や他の医療・介護スタッフとの情報共有

まとめ

6

在宅医療における薬剤師の介入は、患者さんのQOLを大きく向上させる可能性を秘めています。

薬の専門家である薬剤師が、患者さん一人ひとりの状況に合わせて最適な薬物治療を提案し、サポートすることで、より安全で効果的な在宅療養が可能となるのです。

もし、ご両親やご家族が在宅療養を始める、または検討している場合は、ぜひ薬剤師のサービスの利用を考えてみてください。

早めの相談と継続的なサポートが、患者さんとそのご家族のQOL向上につながります。

薬剤師は、みなさまの大切な人が、住み慣れた我が家で、安心して療養生活を送れるよう、しっかりとサポートします。

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